
ウェブサロン「注文の多いフルーツカフェ」
19号(11月12日号)
「メラミン混入の余波」
<正子> ここに来るのはもう日課のようになりましたよ。
<ミキ> 正子さんがお見えにならない日はどこかお出か
けになったか、お体の具合でも悪いんじゃないかって思っ
てしまいます。
礼子さんの手料理は自分でつくるよりおいしいからよ。何
より安心だしメニューにも無いものを作って出していただけ
るので飽きることもないし。
<礼子> おだてられればますます本気になります。でも次
から次と食品の安全に絡んだ事件が報道されるのでそのたび
に食材の表示を注意深くしらべているんですよ。
「注文の多いフルーツカフェ」は中国製の食材は一切使い
ませんっていわないんですか。
私はそうしたほうがいっそ皆さんにわかりやすいかって思
うんだけど、薀蓄マスターはそうじゃないのよね。どこで作
ったかじゃなくて誰がどうやって作ってどんなものができた
かが大事で食品は生産地だけ決められるものじゃないって頑
固なのよ。
相変わらずマスターらしいわね。理屈としてはその通りよ。
でも一般の人の感じ方はかなり違っているのよね。
私がすぐにおもいだすだけでも、今年になってから毒入り
餃子、事故米の転売。ミルクへのメラミンの混入。冷凍イン
ゲンへの殺虫剤ジクロルボス混入。
餃子へのメタミドフォス混入事件があってから、保健所な
どの対応の仕方が悪かったと批判されて、土日も受け付ける
ようになったし、迅速に危害情報を全国の機関で共有できる
ようにするための仕組みをちゃんと活用するようになって、
危害情報の発信は早くなったと思うわ。
そうね、冷凍インゲンへの高濃度のジクロルボスの混入が分
かってから、「食べないように」という報道がされるまではと
ても早かったなと思いました。すぐに冷凍庫のインゲンを調
べて該当していなかったけどなんだかその日はインゲンを使
った料理を薦める気は起きなかったわよ。
毒餃子事件のとき保健所や消費センターなどに寄せられた食
品危害情報を共有して一元管理するためのシステムがありなが
ら使われていなかったという報告を聞いて、当時の福田首相が
「組織と精神が錆び付いている」と激怒したそうです。
<賢二> ただいま。外は木枯らし一番が吹いていますがカフ
ェの中はホットな話題のようですね。ミルクティーでもお入れ
しましょうか。
メラミン混入ミルクのことも話していたところです。
メラミンのベビーミルクへの混入で中国では5万人を超える
乳幼児が結石で入院し死者まで出たといいますがいたましいで
すね。
それに続いてヨーグルト、チョコレート、クッキーなどその
中国のメーカーが作った乳製品を原料に使っている製品からも
検出されてから、日本はもとより中国から食材として乳製品を
輸入している東南アジアの国々などでも大問題になっています。
どこの国でも加工食品の原材料の原産地表示はすべてが義務
じゃないし、よく分からないからなおさら不安になるというこ
とかしら。
製品への表示が無くても食品製造・流通業者が規則に従って
使用した原料について記録していれば問題の範囲の特定・絞込
みができます。
あいまいな場合は疑いの範囲が広がってしまうわけですね。
ベビー用粉ミルクは乳児にとってそれが食事のほとんどすべ
てだから深刻な結果になったんですね。 金儲けのためメラミ
ンを牛乳に混ぜたというのは言語道断ですが、それがあったか
らといってその国の食品がすべてそうだというわけではないで
しょう。
メラミン自体は工業原料で食品ではないけれど、ごく微量で
強い毒性を示すものではありません。だから農薬と違って残
留基準が無いので一律基準を適用するような性質のものでも
なく、安全性の面では実際に食して危険なほど食品に含まれ
ているかが問題でしょう。
問題のあったメーカーのつくった乳製品については販売を規
制したんですが、牛乳を利用してつくる製品の裾野が広いので
多くの食品メーカーに波及して大変困っています。
私はメラミンによる被害を北京オリンピック前に分かっていな
がら中国政府が情報を伏せていたっていうのがあってから中国
からの食品は信用ならないと感じるようになりました。
乳製品に続いて、中国産の鶏卵からメラミンがみつかったと
いう報道がオーストラリアでありました。これは飼料メーカー
が鶏の餌に混ぜたのが原因ということですが、乳児用ミルクの
場合と違ってこれを食べても健康被害が出るような量は検出さ
れていないそうです。
卵を使った食品も裾野は広いし、ここは冷静になって中国製
の卵を使った加工食品をすべてあぶりだして謝罪広告を出させ
て廃棄させるなどといった圧力をかけることは避けるべきでし
ょう。
鶏の餌に限らず、魚の養殖の餌なども疑問視する人もいるよ
うです。
卵にしても魚や肉にしても、食べても直ちに危険が無い場合
は速やかに改善措置をとることで廃棄しなくても充分だと考え
るべきでしょう。
予期せず餌として与えたことがあったということで、食べて
全く差し支えないものまでを捨てるのはもったいないからね。
インタビューのときに新聞社やテレビ局の記者が良くやること
ね。わざと怒らせたりして本音を引き出そうという場合もあるけ
ど、自分が正義の味方風に断罪してみせて視聴者、読者のご期待
にこたえようとする劇場型もあるわ。
もっとも、どの程度の量が含まれていてその健康リスクはどれ
ぐらいかを常に念頭において、正確な報道をしているジャーナリ
ストがもっと増えてくれたらなとOGとしては思います。
冷凍インゲンの高濃度のジクロルボス検出は一件だけで他から
は見つかっていないので特殊な事件性が強く疑われますがその
後の追跡報道はあまり無いですね。
金儲けのためにやったという点では事故米の問題もそうですね。
根の深い問題で決着がついたわけではないのにマスコミの追及は
トーンダウンしていますね。知らずに原料に使って、農薬もアフ
ラトキシンも問題になるほど検出されないのに原料として使って
いたというだけで自主的な回収を余儀なくされた酒造・食品メー
カーの憤りは察して余りあります。
農水省がどこまで厳しく自己変革できるかに将来がかかってい
て、報道機関のチェックが重要な場面です。
そもそも事故米なんて奇妙な言葉を発明したことが後ろめたさ
があったという状況証拠です。基準に合わないものが見つかった
ら、廃棄か積戻しさせるから大丈夫といっても、積み戻されたも
のがどう使われるのか、また価値のあるものをもったいないとい
う気がしますがね。
米への高関税の維持、ミニマムアクセス、作付け制限、米価、
生産コスト----。
農水省のみが負うべき問題ではありません。国民が選択すべき
政治的な問題です。
食品に対して、利益のため、辻褄あわせ、怨恨のため、社会不
安を起こすためなどの事件が連続して発生していますね。
これらは今までの食品衛生管理の考え方・手法ではなかなか防
ぎきれません。
できうる防衛措置とるとともにいざ起きたときにいかに被害を
最小限にするか手を打つことが必要です。
まずは迅速な判断と行動が基本ですが、情報が不十分なうちに
判断を下さなければならないためスピードと正確性は相反する部
分があります。
民間企業では風評被害を恐れて口をつぐんでいることもあるの
ではないかしら。それとも判断がまちがっていたら大変になるか
ら慎重になるのかしら。
両方でしょう。
普通は責任を持って自分で管理している範囲のことは決定的証
拠が無くても適切な判断はできるものですが、他から意図的にや
られた場合は予想の範囲を超えるのでまず何から調べたらいいか
さえ難しい。
そんな時はどうするんですか。
まずは、疑わしいときはこれ以上リスクを拡散させない。つまり
それと同じロットの流通停止。そしていろいろ調べる。それから
先の対策はもう少し情報が手に入ってからです。
流通停止しただけで流通業界にはうわさが立ちます。でもそれ
を恐れて健康リスクのある食品を流通させてはいけません。
関係先には簡潔になぜそうするのかを速やかに説明しなければ
なりません。
当然経済損失は起きますよね。
突然の災害ですからね。それに当局からの輸入販売自粛要請など
があれば、自分に落ち度が無くても従います。
こういうときに食品安全政策として企業が自主的に行う危害予
防措置に対する多くの食品事業者が入りやすい保険がほしいですね。
経済的に大きな痛手を負うのを緩和できるし、仮に後で何らか
の理由で行政の判断が間違っていた場合だって業者にとって政府
を相手どって損害賠償請求の裁判をするのはしんどいことです。
つるべ落としで薄暗くなってきましたよ。正子さん何か召し上が
っていかれますか。
もちろん今日の夕食は礼子ママにお任せよ。
本日のレシピ: 鶏肉のレモンマリネ焼き
Chickenlemonmarinade.html
編集後記: 世界的な金融システム崩壊と景気下降連鎖がとどまるそぶりを
見せません。
冷え込む業績予測で解雇された非正規雇用の人や、内定取り消
しなど知らされた若い人でしょうね。
金融機関はつぶすことができないからって税金をつぎ込んで支
えるけど、この国の製造業を踏ん張って支えてきた中小企業への
資金供給が滞らないための充分な施策が同時に無かったら日本に
経済モラルハザードをもたらした時代として平成を後世の歴史家
が書くんじゃないかしら。
==========================================================================
「注文の多いフルーツカフェ」はフルーツをめぐる時の話題、食生活、栄養、健
康機能、安全、品質、レシピ、生産情報 などのお役立ち情報をバーチャルフル
ーツカフェにいらしたお客様とのやり取りを通じてお届けするメルマガ・(メー
ルマガジン・メルヘンマガジン)です。(購読は無料。)
メルマガでお送りする話題はホームページ「注文の多いフルーツカフェ」 にリ
ンクしていますのでお時間の許す方はホームページにご来店の上バックナンバー
閲覧などされてごゆっくりとお寛ぎください。
バックナンバー
またお友達にもぜひ「注文の多いフルーツカフェ」ホームページを教えてあげ
てください。
http://www.fruits-nisseikyo.or.jp/fruit-cafe/home.html
メルマガの購読は無料です。
月に2回から4回のペースで社団法人日本青果物輸入安全推進協会
・安全問題専門委員会が編集し発信します。
メルマガ「注文の多いフルーツカフェ」購読のお申し込みはこちらへ
http://www.fruits-nisseikyo.or.jp/fruit-cafe/form/inquire/
登録内容変更はこちらへ
http://www.fruits-nisseikyo.or.jp/fruit-cafe/form/change/
配信停止のご希望はこちらへ
http://www.fruits-nisseikyo.or.jp/fruit-cafe/form/leave/
メルマガ・ホームページへのご意見・ご質問はこちらへ
fruit-cafe@fruits-nisseikyo.or.jp
いただいたメールアドレス始め個人情報は「注文の多いフルーツカフェ」メルマガ、および
ホームページの配信以外の目的に無断で使用いたしません。
==========================================================================