ウェブサロン
「注文の多いフルーツカフェ」


      39号(2010年2月26日)
        『ウガンダ・世界一バナナを食べる国民』


礼子
<礼子>大阪の佐藤さんという方から、これからいらっしゃるってお電話がありました。
賢二
<賢二>そうだ、この間メールが入っていた。そういえば今日だった。
礼子
若々しいお声でしたけど、バナナの事でのお知り合いでしたよね。
賢二
京都の大学院から、去年から大阪の大学に移って講師をしている人でね、そうだ、今月東京のシンポジウムで講演をすることになっていました。
佐藤
<佐藤>こんにちは。こちらが賢二さんのお店ですね。はじめまして、大阪から来ました佐藤です。
賢二
ようこそ。はじめまして、賢二です。これは家内の礼子。
礼子
いらっしゃいませ。
佐藤
奥さんは、このフルーツカフェのメルマガを読んでイメージしていた通りの美人で、お目にかかれてうれしいです。
礼子
あら、なんてお上手な。お世辞でもうれしいわ。おなかすいていらっしゃいませんか。バナナで作ったおやきがありますよ。
佐藤
いただきます。空腹というほどではありませんが、バナナで作った料理なら何でも頂きます。
賢二
きょうは何処でご講演されたんですか。
佐藤
都内で国際農林業協働協会主催のアフリカセミナーです。アフリカにおける料理用バナナの生産と利用という演題で、ウガンダでの調査結果を報告しました。
礼子
ウガンダへバナナの調査に行かれたんですか。
佐藤
10年ほど前から東アフリカ内陸部のウガンダの人々とバナナのかかわり方を調べていて、相互依存関係にあることが分かってきました。民族学と植物学のフュージョンとでも言いますか。
賢二
ウガンダの一人当たりの消費量は一年に500キロで世界でもトップレベルですよね。
佐藤
米とトウモロコシの消費がふえていますが、今も300キロほどで、バナナが主食といって過言ではありません。バナナはもともと東南アジアが原産ですが、ウガンダ周辺にたどり着き、そこで近隣よりはるかに高い人口密度の社会がつくられました。バナナが文化圏や社会の形成にどんな意味を持ったのかを理解することは、これからの国際援助のあり方を考え直す上で参考になると思います。
礼子
毎日1日に1キロ近く食べるんですよね。飽きてしまわないかしら。
佐藤
ウガンダではさまざまな品種のバナナが栽培されていますが、一番重要なのがマトケ(Matooke)という、蒸してマッシュして食べる料理につかわれる品種です。
賢二
なるほど。ジャガイモ食文化圏の、マッシュポテトのようなものですね。
佐藤
そうです。味付けと、添え物でバラエティーを作り出すことができます。
礼子
若い先生についてバナナの料理を教えてもらえるなら私もその大学の学生になりたいわ。
賢二
入学試験があるってこと忘れていませんか。
佐藤
 入学しなくても、インターネットを利用すればいろいろな人とコミュニケーションできて、本人しだいでいくらでも学べる時代になりました。バナナの料理法も調べてきましたからレシピをご紹介します。
 それと、どんな種類のバナナが何処でどれだけ作られていて、それはいつごろ何処から広まって、いまその社会でどれほど重要なのか。そして今その国とバナナがどんな問題とかかわっているのか、といったように、バナナは社会を理解する一つの切り口になります。
賢二
 料理用バナナ群、ムサ・バルビシアーナの起源はフィリピンだという説は有力で、サバと、カルダバの2種類の重要な調理用品種があって少しだけ輸入されているけど、多くは日本に住んでいるフィリピンから来た人たちが買っていると思います。食べ物は文化そのものだから、慣れ親しんだ味は恋しいし、全く始めての食材や味に慣れるまではだいぶ時間がかかります。
 マトケを作るのに適したバナナは輸入されていないと思います。国際貿易商品としてのバナナのほかに、民族の文化としてのバナナがしっかりとあるということですね。


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今日のお客様:佐藤靖明さん(大阪産業大学 人間環境学部生活環境学科客員講師)



アフリカにおける料理用バナナの生産と利用 −ウガンダでの調査結果を中心として−

佐藤靖明/大阪産業大学人間環境学部
sato@due.osaka-sandai.ac.jp

 アフリカの湿潤地域では、長い年月をかけて独特のバナナの栽培文化がつくられてきた。バナナは東南アジアを栽培起源とし、既に紀元前にはアフリカに到達していたことが明らかになっている。熱帯雨林帯への居住域の拡大や、高地帯での集約的農業の確立、料理用バナナに対する嗜好の発達など、アフリカにおける農と食の発展において、人間とバナナのかかわりは重要な役割を果たしてきた。

 アフリカにおけるバナナの栽培には粗放から集約までの幅広いバリエーションがみられ、作付・利用体系や品種群の違いによって(1)東アフリカ沿岸部、(2)東アフリカ高地、(3)中部・西部の三つに地域区分される。ウガンダを含む東部高地には、農業景観、生業経済、生活文化などの点でバナナに強く依存する地域社会が分布しており、そこではバナナを中心に構成される畑(ホームガーデン)とそれに付随する住居が無数に点在している。

 ウガンダにおける栽培上の特徴は、高い食料生産力を有しつつ多品種栽培や混作が許容される点にある。バナナの常畑栽培がアフリカ屈指の高い人口密度を支えており、また、形態学的に百程度に分けられる地域固有の品種が存在する。他の食料作物や有用樹木と組み合わせた栽培も広くみられる。この在来農業は、集約的な生産と遺伝資源の保全を両立させるものとして注目される。

 近年における最大の問題は病虫害、とくにBanana Xanthomonas WiltとFusarium Wiltによる被害の拡大である。現在、国内外におけるバナナ研究者のネットワークを活用した対策が実施されている。また、遺伝子組換え品種の導入も進められている。長期的な課題としては、従来の主要な栽培地域であったビクトリア湖沿岸で進行している土壌劣化を防ぐ方策を講じることが挙げられる。家畜飼養を組み合わせた栽培システムへの移行などが検討されている。

 利用面に目を向けると、アフリカのバナナは食用、物質文化、精神文化において多様な用途があり、とくにウガンダ中部では、その洗練された様式がみられる。食用利用では、マトケをはじめとする数種類の主食料理、副食、軽食、醸造・蒸留酒の材料にバナナが用いられ、料理用バナナの向都流通も活発化している。新たな粉末加工の技術の導入も政府によって進められている。

 今後のウガンダにおけるバナナの生産と利用は、豊かで在来的な「生物文化資源」を継承しながら、外来の技術やモノを積極的に受容する、という2つの方向を共存させていくことになるだろう。そこで、私たちが<在来―外来>の両方を考慮して開発にかかわる際に重要なことは、農家の営みを最大限に尊重して、彼らが主体的に技術や知識を選択・獲得できるしくみを構築していく点にあると考えられる。ウガンダ国内や世界各地(アフリカ各国、東南アジア、中南米、日本)におけるバナナ生産農家の間での技術交流の促進も大変興味深いと思われる。

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セミナータイトル:JAICAFアフリカセミナー「生活の豊かさを求めて−アフリカの多様な資源活用の可能性−」
主催:社団法人 国際農林業協働協会(JAICAF)
開催日時:2010年2月12日


本日のレシピ:グリーンバナナのおやき風
http://www.fruits-nisseikyo.or.jp/fruit-cafe/recipe_book/recipe_page/recipe042.pdf



絵本 どんぐりと山猫
  (PDF)
原作 :宮沢賢治
:高村 哲


(あとがき)
 東京周辺では今冬はよく雪が降りましたが梅の花がほころび始めています。うきうきします。輸入果実の出番ですね。どんぐりと山猫は私が子どものころに読んだ童話ですが今になって身にしみるお話です。(米)

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